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2009年8月

2009年8月 2日 (日)

撮影日記その8: 続「Los Simuladores」編

Simuladores12370x2701  さて今日は何を書こうか。

 7月27日、この日もまたテレビシリーズ「Los Simuladores」の撮影に参加してきました。

 この日の撮影に先立って私のパートナーもコメントで語っていた通り、7月17日にこの番組の第一回放映をスタッフ、出演者みんなで一緒に見ようじゃないかというイベントが行われました。
とあるバーを借り切って特別にこの日の為だけに設置された巨大スクリーンにテレビ画面を投影して一杯やりながらの試写パーティーで、みんな実際に放送された画面を見てやっとこれまでの苦労が報われたって感じで拍手喝采のうちに夜は更けました。

 テレビ放送は始まったものの、撮影はまだ続きます。

 と言っても、今回の出演分が第16話目で撮影の方も残すところあと2週間、全18話の予定でしたが、最終話は前編、後編を2週にわたって放送するので話数としては17話で完結です。
スタッフ一同もラストスパートに気合が入り、現場もいつになくソワソワした雰囲気。

 長く続く撮影もいつか終わってしまうのはみんな分かっているはずなのに、終わってしまうのはやっぱり寂しいとか言う人もいれば、中にはもう収録が全て終了した後のバケーションの計画を立てている人達もいて、まだ仕事全部終わってないのに不謹慎な、と思って聞いていたけど、まぁ~、延べ10ヶ月にわたる過密スケジュールからやっと解放されるんだから無理はないし、気持ちは分かるよ。
みんなご苦労さん。
でも最後まで手は抜かないで続けていただきたいもんです。

 もうちょっとで休めるんだから。

 なんて思っていたのも束の間、このシリーズのパート3のスタートが早くも決定したとの情報をこの日入手しました。
前々から噂は出てたけど、この日の情報ではほぼ決定と言う話。
もし現実となればスタッフ一同は2ヶ月ちょっとのバカンスの後、再び過酷な生活に戻ることに。

 出演者や貧乏スタッフにとっては朗報でしょうが、ここで一抹の不安が・・・

 メキシコのテレノベラと呼ばれるテレビドラマは日本のように週一回の放送ではなく、月曜から金曜のぶっ続け放送であることは世界的に有名です。
撮影開始当初の放送回数は決まっていても、人気が上がり視聴率も上がれば本来の脚本に無理やり話や設定を上乗せして話数を伸ばし1年、2年と続くドラマも稀ではありません。
その毎日の放送に間に合わせるために出演者は連日連夜の強制労働を強いられ、台詞をしっかり覚える時間があるわけもなく、カメラに映らない様な小さなイヤホンを耳にはめ、裏方さんに読んでもらう台詞を聴きながら演技をしているのも事実です。

 そんなんで良いドラマが出来るわけない!!

 と、以前からTakaBrownは申しているんですが、メキシコのテレビ業界の体制は一向に変わる気配がない。
しかも毎回、毎回、愛と家族の絆と裏切りとハッピーエンドというメキシコ人が大好きなドラマのテーマは永遠に変わることはなく、果てしなくつまらなく、くっさい、くっさいお話が未来永劫続くことは間違いないでしょう。

 しかしTakaBrownが発狂寸前で物申してるのを知ってか、知らずか、最近やっとこのくっさいテレノベラ体制をメキシコ人達自らが卒業しようと、このLos Simuladoresを始めいくつかのシリーズ物が好調なスタートを切っています。
テレノベラが演劇的な手法なのに対し、シリーズ物はあくまでも映画的な手法をとり、放送日週1回体制を整え、原則的に1話完結で、1シリーズ12、3話程度を目標にしていたは・ず・な・の・に・・・

 なんと次回のLos Simuladoresパート3は全28話の予定でスタートすると言うじゃありませんか。

 ちょっと、これはただ事じゃありませんよ奥さん。

メキシコにおいて事が長引けばクオリティーが下がるというのは分かりきっています。
メキシコ人の集中力も精神力もそんなに長く続くわけがありません。

 良い仕事する=長時間仕事する

メキシコ人的思考を簡単に説明するとこうです。

 今からTakaBrownが警告します。パート3とパート4に分けた方が絶対いいぞ。

 早く気づけ。
 気づいてくれ。
 今ならまだ間に合う。

 つまんないテレノベラになってしまう前に・・・

 

 さて次の撮影はどうなることやら。

 本日の撮影午前7時半集合、午後3時終了。

 ご苦労さん、自分。

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2009年8月 4日 (火)

撮影日記その9: 「Steren CM」編

24851_381498518306_213948758306_357  さて今日は何を書こうか。

 7月28日、この日はSterenというメキシコの電化製品店のコマーシャル撮影に行ってきました。

 撮影場所はEsutudio Churubuscoと呼ばれるメキシコのハリウッド・・・ と呼ぶには到底規模は及びませんが、一応撮影業務の全般を補うメキシカン・シネマの天地です。

 メキシコ映画にとどまらず、本場ハリウッドや諸外国の映画撮影がメキシコで行われる時も必ずと言っていいほどここを拠点に作業が進められます。

 ざっと思い当たるだけでも、「ランボー」、「タイタニック」、「ドラゴン・ボール」等、様々な映画がこのEstudio Churubuscoの協力によって制作され、世界的ヒットを収めました。

 数年前にはメル・ギブソンが監督した「アポカリプト」が全編メキシコ撮影を敢行。
当初の予定を大幅にオーバーし、ベラクルス・ロケが10ヶ月にも及んだにもかかわらず、全ての工程をバックアップしました。
メル・ギブソンはベラクルスから帰ってきた後も2ヶ月近くこのスタジオにこもり、ベラクルスで収録したフィルムに撮り残しがないか全てチェックし、編集作業を一通り終えてからアメリカへ帰って行ったそうです。

 その頃私、TakaBrownもたまたまスタジオ内の通路で彼とすれ違ったことがありました。

 今までにもジャック・ニコルソン、アントニオ・バンデラス、キャサリン・ゼータ・ジョーンズ、デニス・クエイド、フォレスト・ウィテカーと競演・・・ 
すいません、嘘つきました。
仕事中にすれ違った事がありました。
でもやっぱり、ハリウッド・スターって独特のオーラがあります。
特にフォレスト氏とは待ち時間に10分ほど二人っきりでお話しできるチャンスがあって、良い経験になりました。
私が聞いた役作りについてとか、「ちょっと痩せたんじゃない?」なんてつまんない質問に非常に神妙に、紳士的に答えてくれて、上記のスター達とも全く違う彼独自の雰囲気を発していたのはとても印象的でした。

 そんなメキシコのハリウッドでこの日お会いできたのはディエゴ・ルナ。

 彼も私がメキシコに来た頃はまだあどけなさの残る少年で、テレノベラで「ママー、宿題したくないよー」とか言ってたのに、今ではガエル・ガルシアと並ぶメキシコを代表するスター俳優に成長。

 実はわたくしTakaBrown、彼とは非常に縁があって、訳も分からずこの仕事を始め、初めて競演した(この時はほんとに競演しました!)スターが彼。

 その後も何度か一緒に仕事をしたんですが、この日は我々がCM撮影するスタジオの正面の別のスタジオで映画の撮影をしていました。
で、たまたま私がスタジオ”6”に入ろうとした時に、たまたま彼がスタジオ”4”から出てきて休憩してるところにばったり遭遇。

 このディエゴの映画、彼が監督もするって聞いたもんで、「これはチャ~ンスッ!!」とばかりに自分の仕事もそっちのけで御挨拶。

 「新しい映画撮ってるんだって?」

 と聞いて有無を言わさず、「じゃ、日本人役が必要だったら連絡してねっ!!heart02

 と言い放ってすかさず、これもたまたま持参していた自分の宣伝用の写真を手渡し、満面のニコニコsmile笑顔で握手して別れて、自分のスタジオに。

 ディエゴ・ルナに直接自分の写真手渡せる場面なんてそうそうないでしょ?

 まぁ、見てなさいって奥さん。

 次回作への出演依頼の電話がディエゴから直々にかかってくるから。

 その後始まったCM自体は久しぶりに、ほんと~に、つまらん撮影で・・・

 メキシコの会社Sterenはアジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ合衆国から優秀な商品を輸入して取り揃えてますよ、みたいなコマーシャル。
”Producto”(商品)と書かれたT-シャツを着せられ、我々はその輸入された商品役。
段ボール箱の中に入れられ、立たされっぱなしで、そのまま3時間の放置プレイ!!

 この説明読んでも、よく分かんないでしょ?

 ほんとにつまんない撮影でオン・エアを見る気も起こらん。

 そんな訳で今回は昔話とディエゴとの再会の話を中心にお届けしました。
数ある撮影の中にはこういうこともあります。
ディエゴからの朗報を期待して、今日のところはこの辺で。

 

 さて次の撮影はどうなることやら。

 本日の撮影午前10時半集合、午後2時終了。

 ご苦労さん、自分。

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2009年8月14日 (金)

撮影日記その10: 映画「Asesinato en una lavanderia china」編 前編

 さて今日は何を書こうか。

 8月10日、11日は「Asesinato en una lavanderia china」(中国洗濯屋殺人事件)というメキシコ映画に参加してきました。

 現場はメキシコ・シティーの南西をクエルナバカ方面へ車で一時間ほど走った山の中。

 二日間とも久しぶりの夜間撮影です。我々出演者は普段、実際始まってみないとその日の撮影が何時に終わるかなんて全く想像もつかないんですね。

 でもこの日のように集合が夕方、現場についてメイクして、着替えて、照明さん、カメラさんの準備を待ってと、色々計算して逆算すると「今日は朝まで帰れないな」というのが自然と見えてきます。
台本読んだ時点で大体想像はしてたけど、ほんとにこんなに厳しい撮影になろうとは本番入るまでは思いもしなかった。

 舞台は15世紀の中国。
私と私の妻役のナンシー・タイラ(日系メキシコ人女優)扮する農業を営む中国人夫婦はある日、田んぼの真ん中に建つ小屋で待ち合わせをするが突然の豪雨にみまわれる。

 主人の姿を見つけ小屋めがけ駆け出す妻だが、足を滑らせ小屋の柱に頭をぶつけ、出血してしまう。

 額から流れる血を口で拭い取る夫。
だがその瞬間に雷に打たれ突然変異を起こし、異性の血を摂取することにより人よりも長い寿命を持つ種族に変化してしまう。

 ・・・というお話で、このシーンが映画のオープニングの導入部分になります。

 メキシコという国は車で一時間走っただけで気候はがらりと変わります。
メキシコ・シティーの今の季節は梅雨ですが、この辺りは雨は降らない代わりに、昼夜問わず平均的に気温が低く、この日の夜も8月にもかかわらず気温は約5度!

 そこに雨のシーンなので人口雨を降らせます。「しとしと」じゃすみません。
ドシャ降りの雨です。
衣装はタオル生地で作った様な農作業服、素足にペラペラ布一枚の人民靴。
爬虫類は冬に冬眠し、恐竜は氷河期に絶滅していったと言われますが、人間も体温が低くなれば体の自由が奪われる事を実体験。

 雷に打たれる瞬間に後方にひっくり返らなければならず、背中はグシャグシャ、パンツもドロドロ、凍えてタイミングがうまく計れず、水の音で監督の声も良く聞き取れず、落雷効果の照明で目先はクラクラと・・・ なったところですでに時間は午前3時。

 撮影続行したところでこれ以上良くはならん、と判断した監督が

 

 「俺の役者達を殺すわけにいかんっ!!」

 (よっ、名監督!)

 

 と叫んだところで撮影は一時中断。

 「どこかで熱いシャワーを(我々に)浴びさせて来い!」との監督命令でスタッフが我々を車に乗せシャワーを探しに行くはめに。

 どこかでって・・・ 
夜中の3時にそんな山奥に熱いお湯の出るシャワーなんてあるわけがない。
そんな時に考える事は万国共通です。

 郊外にこそあるラブホテル。

 奥さん、ああいったホテルは無駄に愛を育む為だけにあるのではないのですよ。

 20分ほど走って小奇麗なファッション・ホテル風、ラブホテルを見つけたまでは良かったが、私と共演者のナンシー、衣装さんに、スタッフに、運転手、男2名、女3名、よく見りゃ内2人はずぶ濡れの東洋人、総勢5名を乗せた車が乗りつけたもんだから受付のババア(これも世界共通)がパニクって、いかれたジャンキーどもが夜中に乱交パーティーでもしに来たと勘違いして大騒ぎ。

 スタッフの必死の説明でどうにか正気を取り戻したババアが事態を理解し二部屋に一人ずつのみ入室可、という条件付きで許可を出し、ようやく熱湯にありついた。

 でも後で聞いたら、しっかり普通料金取られた様子。しかも二部屋分。

 金取るときだけ正気に戻りやがった。あのババア。

 シャワーを浴びて現場に戻った時点で1時間は経過しており、さぁ、急いで取り残したシーンの為に撮影再開!

 ・・・とはいかず、付け髭、付け毛の付け直し、メイク直し、乾いた衣装に着替え、こういう時慌てると必ず後でボロが出るのがこの仕事です。
スタッフも急ぎながら急ぎ過ぎず慎重に事を改め直して、やっと仕切りなおし。

 残された時間はあとわずか。
夜のシーンなので日が昇り始めた時点で続行不可能になります。
再び雨の中に立って、今度は落雷のショックで空中に浮かび上がるシーン。

 人生何事も勉強です。
このシーンでワイヤー・アクションってやつを経験しました。
たったの2m程でしたが空中にワイヤーで持ち上げられて、吊るされたまま静止状態。

 雨の中での演技、ワイヤー吊るし、極限状態で自分の最高を出す、自分のシーンで時間との戦いと、初めての事だらけだったけど、良い経験になりました。

 一晩中働いても、文章にしてしまうとたったこれだけの事で、映画が完成してみれば5分にも満たないシーンだと思います。
でもみんなこの仕事が好きなんですね。
自分の事ばっかり書いてますが、スタッフのみんなもレイン・コートは着ててもびしょ濡れ状態での仕事です。

 そして明日もこのシーンの続きが待っています。頑張れみんな!!

 後編に続く。

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