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2009年7月24日 (金)

撮影日記その6: 「マクドナルドCM」編 前編

 さて今日は何を書こうか。

 7月19日、日曜日にもかかわらずこの日はマクドナルドのコマーシャル撮影に行ってきました。

 テレビや映画などでは日曜日はしっかり休むことが多いのに、コマーシャルは日曜、祭日お構いなしの強行撮影です。

日曜日の方がロケに使うお店が借りやすかったり、交通量が少なく仕事しやすかったりと色々理由はあるけど、やっぱり日曜日はゆっくり休みたい、というのが本音。
でも仕事なんでしょうがない。

 皆さん撮影の仕事って、撮影本番の日だけが仕事だと思ってらっしゃる方が多い様ですが、撮影に入る前までの方が実は大変なんです。
まず出演者には3週間~1ヶ月前からオーディションの知らせが伝わります。
そのオーディションも1回で決まることは少なく、日を変えて2回、3回と繰り返し候補者を絞り込み、監督、プロデューサー、クライアントの間で「あいつでもない、こいつでもない、あーでもない、こーでもない」と会議を繰り返し最終的に出演者を決定するわけです。

 その度に出演候補者達は呼び出され、収録時に近い衣装を着て会場に赴き、カメラの前で「ここはこうやってみて」、「今度はあーやってみようか」等のわがままで、勝手な指示に従って、あーだ、こーだ、とやって見せるわけです。
そして監督立ち合いの下の最終選考に生き残って出演決定となった暁には後日電話でその旨が伝えられます。

 選ばれなかった時はもちろん何の知らせも無し。

 出演決定後、また日を変え、場所も変え、今度は衣装さんとの衣装合わせ、メイクさんとのメイクテスト。

 そしてまたまた後日、身分証明書、就労ビザ、etc. を持参して契約書のサインを交わしに出向いてと・・・

 15秒、20秒のコマーシャルの為に莫大な費用、時間、苦労を費やした長~い、長~い道のりが当日まであってやっと「はい、本番入りま~す、アクショーン!!」となるのです。

 それだけ長い時間をかけて準備してもここはメキシコ。

 段取りが悪いのは毎度のことと分かっちゃいるけど腹が立つ。
今回は日曜出勤でも、集合が午後3時だったので安心していたのも束の間、現場に到着して辺りを見回してもそれらしき関係者の姿が全く見当たらない。こういう場合いくつか考えられるのが、

1、担当者がロケ地を間違えて言い渡す。

2、ロケ地が変更されたのに出演者まで伝達されてない。

3、別の現場での撮影が長引いてまだスタッフが当地に到着してない。

4、自分が撮影日を間違えてる。

 今回の正解は1。

私の出演場所じゃない、別の出演者のロケ地を言い渡されてて、そこで待つこと1時間半。
本来の現場が歩いて行ける所だったからまだ良かったものの・・・ なんとかしてくれよ。

 現場に到着して他の共演者達に事情を聞いて何となく状況を把握する。

 撮影は土、日、2日間だったのが、前日の午後から大雨に見舞われ中止になり、昨日撮り残したシーンの遅れを取り戻すために当初の計画は総崩れ。
当日早朝から撮影する予定だったシーンを後回しにして取り合えずカット出来ないシーンだけを先に撮っておこう、という状況で、私より被害を被っていたのが50代の男性俳優。こんな状況なので私の出番も大幅に遅れるということになり、ずいぶん長い時間控え室でこのおじ様とお話しをして時間を潰す事になりました。

 この方、私よりも早い時間に現場入りしたのに「あなたの出演シーンはカットになるかもしれない」と告げられ待ちぼうけ状態。
でも時間が余ればそのシーンも撮りたいから帰っちゃダメ、と踏んだり蹴ったり。
以前から顔見知りではあったけど、ちゃんと会話を交わしたのは初で、今回初めてこのおじ様の全貌が明らかになりました。
この方、俳優業の傍ら音楽プロデューサーも兼業してる方で、小さい頃から楽器をたしなみアメリカのボストン大学に奨学金を貰って音楽留学したと。

「そこでバンド活動して色んな奴ともセッションしたよ。ハハハ・・・」と、そこまでは「ふ~ん」てな感じで聞き流してたんだけど、そこからがすごかった。

 「当時やってたバンドが今はエアロ・スミスって言ってね・・・」

 はい? 今・・・ 何とおっしゃいました??

 「俺、エアロ・スミスの初代ベーシストだったんだよ」

 え~っ!!!!!

 確かにエアロ・スミスはボストン出身のバンドで、バンド誕生秘話みたいなインタビューでバンド結成当時のことを聞かれる度に「当初のベーシストはメキシコ人で・・・ 」って話しはスティーブン・タイラーがいつもしてるんです。
で、私も「へー、メキシコ人にそんなすごい人いたんだ。でも、誰だろう?」っていつも疑問に思ってたのね。
でもまさかこのおっさん・・・ いやいや、このおじ様が当の本人だとは夢にも思いませんでした。
失礼しました。

 「世の中って分かんないよねー」、「ほんとにそうだね」って、その後も会話は弾み5時間程の待ち時間もあっという間に過ぎてしまいました。

 当時は大学で勉強を続けるか、エアロ・スミスを本業にするかの選択に迫られ結局学業を選択したけど、今も音楽は続けてるし、エアロ・スミスのメキシコ公演があるときは連絡くれて訪ねてくれるし、全く後悔はしていないとのこと。

 かっこいいいいいぃ~ このおじ様。

 男の生き様垣間見させていただいたようで、この時ばかりはさすがのTakaBrownも感動させられてしまいました。

 ちなみにおじ様のシーンは結局カットになり全く出番もなく帰っていかれました。

 でもいいよね、こういう生き方があっても。

 今回は撮影前の余談が長くなったので前編・後編に分けて撮影本編の話は次回にまわします。

 つづく

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コメント

凄い・・
凄すぎる!!!!!
エアロスミスって!!!!!!!!
そんなオッサ・・おじ様と出会えるなんて
やるやんけTakaBrowngood
日本にいたら絶対に出会えない人だけん・・
メキシコで頑張ってて良かったですね

投稿: まる姐さん | 2009年7月25日 (土) 21時23分

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